ヒットマン事件○3話 完結編

さぁ2話に引き続き完結編です。
ここまできてくれた人有り難う御座います。

ヒットマン事件○3話 完結編


【キーワード】 1件落着


脅迫電話 反撃編後編


相手から電話が来たとき、非通知設定であったことから
一発で脅迫者からの二度目のコンタクトだと分かったんです

もちろんすぐに録音装置のスイッチを入れて、当初の予定通り怯えきった子羊の演技で沢山のNGワードを引き出してそのまま夜が明けたら警察署に行くつもりでした

しかしね

「あぁ 昨日の俺だけど分かってるよなぁ」

この自分が未だに正体不明であると堅く信じ込んでいる強気な発言を聞いたときにですね

このお馬鹿さんに現在の戦力差を思いしさせてやりたくなったんですよ

見てくださいこの圧倒的な戦力差

現在俺は
彼の名前、年齢、住所、小学校、中学校、現在無職である事まで知っています
しかも同じ市内の人でした
この電話も最初から録音されてます
警察官の叔父さんにも相談しました
本当にいざとなったら友達全員集合で追い込みかけられます
しかも彼はモヤシッ子だそうです



いわば自軍の基地にいてボタン一つでミサイル発射
瞬時に彼を瞬殺できる俺に対して



彼は地雷原に取り残された三等歩兵




しかも彼は自分が地雷原にいることに
まったく気がついていません



それだけではありません彼は
この戦の勝利を信じてきっています

どうやって勝つつもりなのさ ●●三等兵・・・



この絶望的な戦力差を彼に教えてあげたくなったんですよ
ほらおれって親切だから

そんな訳で


「あぁ昨日の俺だけどなぁ分かっているよなぁ」


「分かっていますよ ●●君」


「えっ」



なんて心地よい響きでしょう
僕の求めていたものはこれです



このセリフを聞きたいがために俺は脅迫されてたんじゃないかって言うくらいしびれました




まさに形勢逆転

こうなると止まりません


「俺びっくりしちゃったよ●●君●●市の人でしょ イヤだなぁ僕と同じ市内じゃないですか」

「それとさぁ家は●●の近くだってね ふふ」

「そーいや●●君 今無職なんだってね やっぱり就職厳しいのかい」

「・・・」

気持ちいい

気持ちいいよ

相手の自信が音をたてて崩れていくのが分かるよ






「・・・・」

「・・・・・だ・・・・」

「だからどうした・・・(絞り出すように)」

お 強がるねぇ ●●君

でもね


人間の本当に動揺したときの声って知ってますか?

悲しいほどにバレバレなんです

「だ 誰に聞いた・・・?」

「なんでそんな事教えてあげなければならないんでしょうか?
お天道様に恥ずかしくないように生きてれば親身になって協力してくれる友達なんて沢山いるんだよ」

「だ だからどうした こっちは犯人のお前をぶっ殺すだけだ」

あぁこのお馬鹿さん ほんとどうしようもないな

「もう俺が犯人じゃないって何度言っても信じてくれないので、もうこの件に関しては今日警察に相談してきました」

「・・・・」

「もう警察に相談しましたので、今電話であなたの用件を聞く気はありません
今後は警察を通してお互い話をすすめて行きましょう●●君」

「・・・」

ほうどうやらこのキチガイも警察って言葉くらい知っていたようです

この後、警察を動かしたと言った俺に対してなんと
「あんた本当に犯人じゃないのか」と言いだしました

テメー何度もそういったじゃねぇーか

切れそうになりましたがなんとか誤解を説いたんですよ
ようやく俺が犯人では無いことを理解したようです

彼の謝罪の言葉はこうでした



「あぁ昨日の事はぁ ど どうもすいませんでしだぁぁ、それにぃついては あやまるけどぉぉ あんたも自分の彼女がぁイヤガラセされてたらぁあ、あなるのは仕方ないじゃないですかぁー」





プチ(何かが切れる音)







今までずっと冷静に対処しようとしてましたが、もう無理です

おれが犯人じゃないと分かった後、あれだけの事をしておいてこのふてくされた小学生のような態度

しかも自分の責任を認めたくないから最後の方はなんくせつけて逃げてます

あぁ切れちゃった・・・

「馬鹿野郎 テメーがやったことは社会的になんの罰も受けずに許される事じゃねぇーんだよ

そんな軽薄な謝り方があるか馬鹿野郎、いいよ もういいよ、お前の家今から友達総動員して同じ事やってやるよ、俺が味わった気分をそのままあじあわせてやろうか、あぁコラ

でもな、これをやったらキチガイのお前と同じ最低人間になっちまうからな、俺は大人としてあえてそれを行わずに警察に頼んだからよ
社会的にお前に制裁をくわえてやるよ、いいから警察動いてっから引っ張れてこいよ

俺はなテメーが謝ったって被害届を取り下げるような事はしねぇーぞ、きっちり前科一犯になってかえってこいよ
お前よ今就職探してるんだってな、前科持ちなんてよ まともな会社じゃ雇ってくれねぇよ、一生このままろくでもない人生送ってろよ いいからお前は社会的に死んでこい」

「・・・・・・」


言いたい放題罵声を浴びせてすこし気が落ち着いてきた俺


「いいか お前に言った殺すって言われた俺はな眠れない、飯も喉を通らない、仕事に集中できない、怖くてしかたないから自腹切って電話の録音装置買ってよ、友達にも連絡して協力してもらってたし、警察にも相談したよ

これで解決すればいいと思ったよ でもなそれでも不安だったよ、お前は家に来るって言ったよな、最低俺がお前に殺されるだけならまだしもな、もし俺の家族をテメーが傷つけてみろ、こうなったら大人の態度で警察を動かすとか関係ねぇーよ、家族を傷つけられてたら俺はお前を間違いなく殺しにいってたよ」

「・・・・」

お前の言った殺すって言葉はな
言われた人間にこれだけの覚悟をさせてしまう危険な言葉なんだよ
そういう言葉をお前は使ったんだよ

「・・・・」

けして簡単に使ってはいけない言葉なんだ馬鹿野郎

「・・・・・」

お前もな二十歳すぎた一人前の男なら自分の言葉に責任持って見ろよ

「お 俺は、まだ・・・ガキだもん」



プチ(また何か切れる音)




「あまったれてんじゃねぇ●●」
以下上を繰り返し


このやりとりを三回ほど繰り返したの後、少しずつ●●君の態度が変わってきまして
どうやら警察に引っ張られるって事の怖さが分かってたようでして従順になって来たんですよ


ようやくもう一度謝りたいと言い出しました

しかしその前に彼の僕の知らない全てのデータを吐かせました
名前の正確な漢字、郵便番号、携帯の電話番号、家の電話番号、お父さんとお母さんの名前まで全部聞き出しました
これで彼の個人データは完璧に握りました

本当にこれで解決に向かいそうです
*ちょっとやりすぎたかなと思いましたが、昨日の俺の精神状態を考えるとこのくらいは当たり前だと思えました



ここまで来たところで事態は急な展開を見せ始めます




なんか電話の向こう側から女の泣きわめく声が聞こえます

えぇもちろん知ってる声です、二年ぶりです

「ちょっと電話を●美に替わるから・・・」

どうやら●美の奴横で聞いていたらしいです

「もしもし ●美ですけど・・エグッ・エグゥ」(必死に涙をこらえている様子を想像ください)

「やぁ お久しぶり」

以下ちょっとした話し合いをしました

簡単に説明しますと

どうやら●美は、素性もばれちゃったし俺の疑いも晴れたし
ここは昔愛し合った仲だし穏便にすまして忘れてくれるんでしょって遠回しに言ってきました

それに対して俺の答えは

「御免 俺は彼に自分の発言に責任をとってもらう事に決めたからもう無理」



爆発する●美

泣き出した彼女は取り乱しながら言いました


「ちょっと 何なの 何なのぉぉ 警察って」

「ふざけないでよ、非道いよ」

「な なんでそんな事するの 非道いよ 非道いよ」

「あなた最低よ●●●●よ なんなのよ なんで警察になんかに・・・」




痛いよ
痛いよ
痛いすぎるよ

かつての恋人にストーカーだと思われてただけでも最高に痛いのに

なんで殺されそうになった俺がここまで罵倒されなければいけないのですか


涙をこらえながら必死に声を絞り出す俺
「●美おちつけよ」

「俺もお前に確かめたい事があるんだ聞いてくれ」

「お前が●●君に俺の電話番号を教えたのか?」

「うん」(泣きながら)

痛ッ

「●●に俺の電話番号を渡せばこういう事態になる事は分からなかったのかよ?」

「まさかここまでの事をするとは思わなかったけど・・・
心のどこかでこういうのを期待してたかも知れない私」




ごふ(吐血)


痛い 痛いよママン
僕の胸に彼女の言葉がグイグイ突き刺さるよ



もはや致命傷だよ



精一杯ショックを受けているのをばれないように声を絞り出す

「おちつけよ●美 俺は脅迫されたから警察に相談しただけだ」
「お前の彼氏が俺を脅して俺が殺されそうだったって大前提を無視してお願いだから感情的な意見をぶつけないでくれ」


「だからそれについては謝るっていってんでしょ(怒)」

お前それ謝ってねぇーよ(泣)

これだから泣きわめく女は手に負えません
キチガイ呼ばわりした彼氏より、●美のほうが正常な判断が付かなくなっています


もはや彼女は

今の彼氏が、逮捕される事だけが心配で
昔の彼氏が、殺されるのはどうでも良いみたいですね●美さん





痛いよ 痛いよ
こんなに胸が痛いのは初めてだ



とりあえず、俺が心配でさきほど泊まりに来てくれていたRが横で聞いていて俺のあまりの痛々しさを見ていられなくなり、電話を替わってくれました


「あぁもしもし●美さん、あなた今感情的になりすぎてとつてもなく失礼な事言ってますけど、とりあえず落ち着きましょうね」

「えぐ えぐ」



とりあえずRとの話でちょっとだけ落ち着きを取り戻した●美



そこで彼氏●●君が電話に替わります

俺も気を取り直して応対

「警察だけは勘弁してもらいませんか お願いしますお願いだからもう一度謝らせてください」

ほうほう●●君ようやく口の訊き方を覚えてきたようですね
先生とっても嬉しいです

ここまで言ったらアレですよ ドラマ定番のあのセリフを言っておきました


「あんたの誠意をみせて欲しいんです 俺は」


「わかりました今から謝りに参りたいのですがよろしいでしょうか?」

渋りながら
「しかたないわかりました 起きて待っていましょう」

現在AM2時、近くのマックの駐車場を待ち合わせ場所に指定しました

どうやら●●君が
心からの謝罪をしてくれるそうなので大変楽しみです



しかし、所詮いきなり人の家に殺しに行くと言ったキチガイであるという評価は変わらないので
もちろん腹部にジャンプを巻き付けておきますし二メートル以内には近寄らせないつもりです

会って突然ブスッとやられたらたまりませんからね


さぁ話は終わった電話を切ろうとした時にです


なにかまた

●美が電話の向こうで彼氏に必死にわめいています

「だ・・よ・・・」

「だ・・・めよ行っちゃ」

彼氏の●●
「行かなきゃしょうがねぇだろうが」

なにやら二人で言い争いが始まりました

突然●美が●●君から電話を取り上げ俺に向かって

泣き叫びながらこう言いました







「あ あなた地元によびつけて、●●君を殺る気なんでしょぉおお」























もう






もう涙もでねぇや俺


かつて愛し合った彼女にもはや微塵も信用されていない俺


先ほどから殺されかけた●●君より
●美に対してちょっと殺意が芽生えそうなんですが・・・








もはや泣きだしそうな俺に替わって慌ててRが仲介に入って

「絶対に健はそんな事をする奴じゃないから大丈夫 もし心配ならキミも一緒に来なさい
キミも健に対してまた恐ろしく失礼な事言ってるし」


もはやこの時点で事件解決に向かう喜びより
彼女にここまで言われてしまったショックの方が大きくてふさぎ込んでたんです


でもRが●美は愛に狂っておかしくなってるから気にしない方がいいと慰めてくれまして、なんとか己を奮い立たせて彼ら待つマクドナルドの駐車場へRと向かうことができました


もう捨てるもんなんて無いしな

なかばやけっぱちです




真冬の寒さの中、車の外で
二人並んでたたずんでました

「あ どうも●●です」

「おう」

俺を苦しめ続けた恐怖のヒットマン●●
とにかくごくごく普通の男でしたよ

会ってみたところモヤシというほどではありませんでしたね
中学の頃の情報でしたからきっと成長したんでしょう

しかし
あんな脅迫をするなんてまったく見えません
*最近じゃ普通の奴の方が怖いって意味がよく分かりましたよ




ひたすら頭を下げ続ける二人



この後俺のお説教タイムが始まります

心のサドッ気全開です

徹底的な言葉責めの始まりです

もちろん相手が言い返せないのは百も承知です










言葉責めと言いつつもすべての世の中の常識を聞かせてやっただけですべて正論だったと思います

ただちょっと相手の心をえぐるように角度は
急角度でしたがね






一時間ほど追い込む所まで追い込んだ後






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いよいよこの計画は最終段階へ
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いくら反省の色が見えると言ったところでこの馬鹿者は思いこみだけでいきなり殺すと言ってきたキチガイなわけでして、どんなに反省してもその評価は僕の中で変わりません

今も万が一彼が切れて飛びかかってきても大丈夫なようにある程度の距離を保ってますし、身体は半身ずらして相手に対して急所をずらして喋っています



とにかく最初の電話で俺が強く感じたのは
彼は思いっきり短絡思考であると言うことでした



彼女がイヤガラセをされている

彼女の為なら疑わしい奴は殺しても良い

すぐさま容疑者宅まで実行しに行く


こんな奴なんですから今回の事で●美が落ち着いた後

まさか殺しにいくとまで言うとは思わなかった
そんな人とはつき合えないって●●をふってしまったら


彼女に振られた

原因はどうやら健

健殺す

振り出しに戻っちゃうんですよ(泣)




だから結局ここで問題を解決してもこの後に刺されでもしたら笑えないので

最後はお互い
友好的な雰囲気のまま


逆恨みされることなくきれいにお別れしたいのです

こんなお馬鹿さんとは




さて

先ほどの言葉責めで、自分のした事の大きさと警察に逮捕される事の社会的な意味に震えてひたすら平謝りの●●くん


そろそろ良いでしょう


「顔を上げろや ●●君、今回の事件に対して十分反省もしているようだし
俺も大人としてねこの一件の事はね

忘れないけど許す事にするよ

これからは●●君がもっとしっかりしてな、●美の事を守っていかないといけないよ
●美ももう少し大人にならないと駄目だ

それとストーカーされているんだったら明日にでも二人で警察に行きなさい」


待ち望んでいたお許しの言葉に
ぱぁーと 顔の明るくなる二人


「今回俺が巻き込まれたこの事件もね、この後君たちがもう一度自分たち事を見つめ直して大人になってくれれば、大変な目に遭った俺の苦労も無駄じゃなかったと思えるのだからふたりとも一人前の大人になってください」

「ほんとすいませんでした」「すいませんでした」

「それとね、真犯人のストーカーがいるわけだから、もしよければ犯人探しに全面的に俺も協力させてもらうよ」




俺と●●君の間でかわされる

かたい握手



●●君
「あ ありがとうございます・・・」

なんと●●君、うっすらと涙浮かべています


ニッコリ笑いかけながら俺

「いいんだよ 気にするな」




自分が殺すと脅した相手が、許してくれただけでなく犯人探しに協力してくれるという


俺のあふれんばかりの男っぷりにどうやら熱く胸をうたれた様子


完全に尊敬の眼差しです


俺●●君の生涯もっとも影響を受けた人になる自信有りです

彼の中で俺は生きた伝説として今後語り継がれるでしょう



これにて 脅迫電話事件

一件落着しました やれやれだぜ





でもね 事件が終わった後、友達に言われたんです


自らの保身のために
自分を殺しに来たキチガイとかたい握手をするほど「いい人」を演じきる君が大好き



うん俺もこんな自分が大好き(泣)

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それにしても肉体的にもきつかったですが
なにより精神的にも痛い事件でした

最後にちょっとだけ愚痴っていいですか



愛ってなんですか?


最後まで見てくれた人リスペクト有り難うございました。 ☆-(ノ゚Д゚)八(゚Д゚ )ノイエーイ

感想とかあったらコメ宜しくです(ノ´∀`*)



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